アフガニスタンで人道支援に尽くした医師、中村哲さんが73歳で凶弾に倒れてから4日で2年になる。中村さんを支え、ともに働いた人たちは、その意志を継いで現地での活動を続けている。イスラム主義勢力タリバンが権力を掌握。それに伴う米国による資産凍結、全土で深刻化する干ばつ……。試練が続くが、「命をつなぐことこそ最も重要」として、いっそうの支援を訴える。
中村さんを支えてきた福岡市のNGO「ペシャワール会」事務局。理事の藤田千代子さんは10月上旬、中村さんがアフガニスタンで率いたNGO「PMS(平和医療団・日本)」からメールで届いた数点の写真に言葉を失った。
乾いた大地 言葉をなくす干ばつの惨状
茶色く乾いた大地、枯れた草木、水の消えたカレーズ(伝統的な地下水路)が写っていた。各地から集まって中村さんのもとで用水路工事の訓練を受けた人たちが、それぞれの地元の干ばつの惨状を伝えた写真だった。
「中村先生は一貫して干ばつについて訴えてきた。井戸を掘り、用水路ができて緑がよみがえっても、『アフガニスタン全土でみれば、被害はずっと続いている。このことをみなさんに知ってほしい』と。いま生きていたら、きっと同じように言うでしょう」と藤田さんは話す。
人口の半分以上に食糧不安 不足する活動資金
国連世界食糧計画(WFP)も同月25日、アフガニスタンでこの冬に人口の半分以上の2280万人が深刻な食糧不安に陥るおそれがあり、そのうち870万人が緊急事態の飢餓に直面すると発表。「世界最大の人道危機になりつつある」と、国際社会に警鐘を鳴らしている。
PMSは、8月にタリバンが権力を掌握した後、活動を一時休止した。だが、10月上旬までに順次再開した。
PMSの目下の最大の課題は…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル